ヴァイの日記 -東地中海遠征記-
2005年7月25日
ポルトガル貴族奪還の依頼を果たした僕とアロン船長は、その後活動拠点を東地中海、アテネに移した。
東地中海は僕の得意分野である考古学の依頼が数多く、そして報酬も魅力的だったからだ。
小型キャラック「ヘルメス号」に乗りこみ、僕はアテネ、ベイルート、アレクサンドリア、そしてオスマン帝国の首都であるイスタンブールに移動し、ディアス提督への報告書を纏め上げる。
「ずいぶん早いな、あの船は」
航海中にヘルメス号を簡単に追い抜いていく、三角帆の船を僕は多少驚きながら見つめた。
「あの船はダウってイスラムの船でさ。ベイルートとかで造船されてるらしいですぜ」
アテネで新規に雇い入れたギリシア人の水夫が教えてくれた。
「ダウ、ねえ。ずいぶん早いな。ヘルメス号だって中々早い船なんだけどね」
既にジェノバの造船所で積載、火力ともにヘルメス号を上回る新造帆船を僕は作っていた。
キャラック級帆船だ。
航海者・冒険者として僕は成長し、新たな船を乗るまでに至ったのだけど、ヘルメス号を僕は気に入っていて、未だ乗り続けている。新造帆船は、いまだドックの中で眠ったままだ。
「僕は暫くここにとどまって色々調査していくよ」
幾つかの冒険を成功させて、僕とアロン船長はアテネの酒場で祝杯を上げていた。
「まだまだ調べ足り無い。本腰を据えて調査していかないとね」
古代ギリシア・ローマ時代の遺跡やレリーフ、古戦場などを既に調査し報告していたが、まだまだ多くの謎がここには眠っている。考古学を専攻する僕にとっては魅力すぎる場所だった。
「そうか。・・・俺は軍人になろうとおもう」
「軍人?」
「うむ。これからの事を考えれば、軍事の技術も必要だ。とくに砲撃の技術は軍人にならないと習えないからな」
確かに冒険をするにしろ、交易をするにしろ常に危険と隣り合わせなのだ。自分の身は自分で守らないといけない世界に僕らはいる。
「僕はまだ軍人になる気はないな。・・いずれ、そう、いずれ必要になったとき軍人として技術や経験をつむことになるかもしれない。でも、まだ先の話だね」
「まあ、お前にはお前の考え方があるからな。暫くお別れだ。お互い頑張ろう」
「ああ」
僕とアロン船長は杯を交わした。
次にアロン船長と会うときまでに、冒険者としてもっともっと成長しておかないと笑われるぞ、と思いながら酒を一気に飲み干した。
東地中海は僕の得意分野である考古学の依頼が数多く、そして報酬も魅力的だったからだ。
小型キャラック「ヘルメス号」に乗りこみ、僕はアテネ、ベイルート、アレクサンドリア、そしてオスマン帝国の首都であるイスタンブールに移動し、ディアス提督への報告書を纏め上げる。
「ずいぶん早いな、あの船は」
航海中にヘルメス号を簡単に追い抜いていく、三角帆の船を僕は多少驚きながら見つめた。
「あの船はダウってイスラムの船でさ。ベイルートとかで造船されてるらしいですぜ」
アテネで新規に雇い入れたギリシア人の水夫が教えてくれた。
「ダウ、ねえ。ずいぶん早いな。ヘルメス号だって中々早い船なんだけどね」
既にジェノバの造船所で積載、火力ともにヘルメス号を上回る新造帆船を僕は作っていた。
キャラック級帆船だ。
航海者・冒険者として僕は成長し、新たな船を乗るまでに至ったのだけど、ヘルメス号を僕は気に入っていて、未だ乗り続けている。新造帆船は、いまだドックの中で眠ったままだ。
「僕は暫くここにとどまって色々調査していくよ」
幾つかの冒険を成功させて、僕とアロン船長はアテネの酒場で祝杯を上げていた。
「まだまだ調べ足り無い。本腰を据えて調査していかないとね」
古代ギリシア・ローマ時代の遺跡やレリーフ、古戦場などを既に調査し報告していたが、まだまだ多くの謎がここには眠っている。考古学を専攻する僕にとっては魅力すぎる場所だった。
「そうか。・・・俺は軍人になろうとおもう」
「軍人?」
「うむ。これからの事を考えれば、軍事の技術も必要だ。とくに砲撃の技術は軍人にならないと習えないからな」
確かに冒険をするにしろ、交易をするにしろ常に危険と隣り合わせなのだ。自分の身は自分で守らないといけない世界に僕らはいる。
「僕はまだ軍人になる気はないな。・・いずれ、そう、いずれ必要になったとき軍人として技術や経験をつむことになるかもしれない。でも、まだ先の話だね」
「まあ、お前にはお前の考え方があるからな。暫くお別れだ。お互い頑張ろう」
「ああ」
僕とアロン船長は杯を交わした。
次にアロン船長と会うときまでに、冒険者としてもっともっと成長しておかないと笑われるぞ、と思いながら酒を一気に飲み干した。
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